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みなさん、こんにちは!
このコラムは、子どもたちの運動能力を高めるために様々な角度から「からだを操作する力をはぐくむ」方法を紹介していきます。
幼少期に体を思い切り動かしのびのび過ごすと、何事も意欲的に取り組む態度が養われ、健やかな心の育ちも促す効果があります。
ぜひ、日頃子どもとかかわる中で、参考にしてくださいね。
コロナウイルスの状況が日々変化する中ではありますが、例年とは形を変えるなどして、秋には運動会の開催を検討されている園もあるのではないでしょうか。今回のコラムでは、運動会プログラムの定番、「徒競走」を取り上げたいと思います。
子ども達は「速く走りたい」、保護者は「1番でなくてもせめて…」と、運動会プログラムの徒競走には、それぞれが寄せる思いがあります。
自分の足で走り速さを争う。とてもシンプルでわかりやすい競技です。
古代オリンピックが始まった紀元前776年の大会から、1スタディオン※1(約190m)の短距離を走るという、1競技からスタートしたとか…
近代オリンピックでは、現在追加5種目を含め33種目ですが、第1回大会(紀元前776年)から第13回大会(紀元前728年)まで、古代オリンピックではこの1種目だけだったそうです。
*1スタディオン=古代ギリシャの単位で、ゼウスの足裏600歩分(190m)/足のサイズなんと32cm
ここでつながってくるのは、足裏の重要性(以前のコラム)にて紹介した『100万年から200万年前、人間は走ることに適した足を手に入れた』という説です。
人間が走れるようになり「目的まで速く到達した人」「誰が速いのか?と言い出す人」そこから、「目的地まで到達の速さを競っていた」と想像できます。
さて現代の『走る競技』は、「運動会」の定番です。それは、学年別「徒競走」として距離が定められており、子どもたちは全力で走ります。
この徒競走(かけっこ)は、明治時代の運動会から始まったそうです。
なぜ徒競走と呼ばれるか調べてみたところ、様々な説が記載されていました。
その中で2つ紹介します。
①「生徒の競争」で「徒競走」と呼ばれるようになった。
②「徒」は、「かち」と読むことから、「徒競争」とは、自分の足で(乗り物を乗らず)走り競争する意味となった(かち=乗り物に乗らずに歩くという意味)
個人的には、②の説を推します。足裏は重要と考えている著者には②はとても説得力があります。
運動会での徒競走も最近は、ユニークなネーミングをする園もあり「〇〇園カップ」「ゴールまで走れ」「ダッシュだ!GO」「目指せNo.1」「Let it go!」(有名な映画の歌から)など、ネーミングにも各園こだわり運動会を盛り上げています。
さて近年、「走る」ことに着目し、「速く走るコツ」「速く走るための教室」「走ることを助けるシューズ」など、短距離、中距離、長距離、障害物走など『速く走る』ことが様々な角度から研究されています。
速く走るコツは、「姿勢」「腕の振り」「膝の上げ方」と3つです。
この「姿勢」「腕の振り」「膝の上げ方」の3つに注目して練習をお勧めするのは、小学校4年生以降です。
私たちは運動神経のピークは、3回あります。1期(幼児期)、2期(児童期後半)、3期(おおよそ19歳から20歳前半)です。《詳しくは、「こどものからだを操作する力をはぐくもう」(萌文書林)をご参照ください。》
1期にあたる幼児期に大切なことは、3つです。
紹介しました速く走るコツの3つ「姿勢」「腕の振り」「膝の上げ」というのは、カーレーシングに例えると、風の抵抗をなくすために車を抵抗の少ない形で開発してレースに参加するイメージです。
ただ、カーレーシングでも、車の形がスマートになっただけでは勝利はつかめません。
「3・2・1スタート!」とスターターの合図と同時にアクセルを踏んでも、それには全く反応せず、少したって反応してスタート。肝心なエンジンがエンスト。しかも馬力がない。走ったらタイヤが破損してしまった…これではどんなに車の形状が良くても、まったく競走になりません。
幼児期は、「姿勢」「腕の振り」「膝の上げ」よりも先に、体を自由に操作できる反応のよい『エンジン』と柔軟性のる足部(足裏)「タイヤ」を装備して『それらを細かくつなぐ配線』が大切です。
今回のブログの「その3」では、徒競走の「スタートダッシュ」を両足ジャンプで高める実践方法をご紹介します。
その他にも、保育者の皆様は、ぜひ情報をうまく取り入れながら、個々の発育発達に合わせた運動のアプローチをしていきましょう。
次回は、『「走る」一歩間違えると「運動嫌いに」』というサブテーマでお伝えします。
基本運動の代表的な動き「走る」。「走ってきて」=「急いできて」・・そこには速度の意味も入っています。その速度は各個人が持っている能力なので、様々速度が違います。
スポーツ庁で平成29年度実施した「全国体力・運動能力・運動習慣調査」結果を紹介しながら、
「走る」を通常とちょっと違う角度で考えてみます。
お楽しみに!
執筆者の著書で、より詳しく子どもの運動について学べます!