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保育者のストレス (2)個人・組織レベルでのコーピングの例

 保育者のストレスを、ストレスのもと(ストレッサー)と、ストレス対処(コーピング)の観点から整理していきます。今回はコーピングについて取り上げます。

 自分でストレスを把握、対処しながら心身をケアしていくストレスマネジメントは、社会人の自己管理の一環として求められるものです。まずは個人として取り組める対処法を見つけることが大切ですが、組織として心がけたいこともあります。また、どうしても対処できないストレスには、専門家への相談が必要です。

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 保育者のストレス (1)ストレッサー

個人の対応としてのコーピング

 ストレスに対するコーピングとして、認知(考え方)へのアプローチと、行動へのアプローチがあります。
 認知へのアプローチとは、認知が変わるとその後に発生する感情が変わる、という私たちの心のメカニズムを利用したものです。出来事の意味をできるだけ肯定的に解釈することで、現実が変わらなくても、ストレス負荷が軽減されることがあります。

<例>

  • 悪いことの中にもよい面を見つけようとする
  • 今後はよいこともあるだろうと楽観的に考える
  • このことが、自分に何かを学ばせているととらえる

 一方、行動へのアプローチとは、実際に自分が行動を起こし、ストレス解消を図るものです。

<例>

  • 解決策に関する情報を収集し、参考例を学び、問題解決を試みる
  • 信頼できる人に話を聞いてもらい、気持ちを静める
  • 好きなことをする(好きなものを食べる、身体を動かす等)時間を取り、気分転換をする

組織の対応としてのコーピング

 組織の雰囲気は、個人のストレスにも大きな影響を及ぼします。コロナ禍のような危機的状況では、それまで表面化しなかった職員間のズレ、見て見ぬふりをしていた組織の課題が浮き彫りになることがあります。たとえば、管理職とのコミュニケーションが不足していたために現場のコロナ対応が混乱する、保育者同士の保育観の違いから行事の見直しがすすまない…などです。
 一方で、コロナ禍をきっかけに、保育に本当に必要なことは何かを何度も職員間で話し合ったことで、業務の負担軽減が図れたケースや、コミュニケーションが活発になったケースがあります。危機(crisis)とは、「分岐点」が語源です。危機的状況の分岐点において、皆で向き合い、組織として対応を検討することで、よりよいチームを生み出すことにつながる可能性もあります。

話し合いがすすむ風土づくり

 まずは管理職やベテランの保育者が、話しやすい雰囲気をつくるように心がける必要があります。個人の意見を尊重し、共感的に話を聞くことで、一人ひとりが大切にされている実感がもてるようになります。そして、職員の話し合いの時間を確保できるようにし、お互いに保育観の違いや失敗にも寛容な態度で話し合いを重ねると、支えあう協働的な雰囲気が形成されるようになります。

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