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みなさん、こんにちは!
前回のコラムに続き、室内でできる運動あそびを紹介します。
今回は、「投げる」動作を身につけることに繋がる運動あそびです。
保育園でも公園や園庭でボール遊びをしたり、幼児クラスになればドッヂボールをしたりすることがあるかと思います。
「投げる」動作を人はどのように身につけるのか解説した後、具体的な遊びを動画付きで紹介します。是非参考にしてくださいね!
▼前回の記事はコチラ
人は、年齢とともに様々な運動を経験することで体の動かし方がうまくなり、動きの質が改善され目的に合った合理的な動きができるようになります。
おおよそ3歳頃には、走る、跳ぶといった主な基本動作ができるようになってきます。そして4歳頃までは、動きに「力み」や「ぎこちなさ」がみられますが、体のバランスがとれるようになります。そうして無駄な動きや過剰な動きに伴う未熟な動きが減少し、目的に合った合理的な動きによる滑らかな運動や動きの組み合わせが成立するようになります。
下記のイラストは、投げる動きが上手になっていく過程を示したものです。パターン1からパターン3は、基本運動の中の模倣からくる投げる動作の段階です。
見本として大人が「投げる動作」をやって見せると、ほとんどの子どもたちが、パターン1からパターン3までの投球動作をします。ここまでの投げる基本運動は、自然とできるようになっていきます。
パターン4以降は、「投げる動作」を教え、「遠くに」「まっすぐに」「高く」「速く」「強く」「弱く」「相手が捕球できる投球」などの、目的に合った合理的な動きが必要となります。
幼児期において、投げ方が質的に改善(上体のひねり、足のステップ、投げる準備動作としての腕の引き、フォロースルーなど)されていくためには、幼児期後半から投球動作として、教えながら投げる楽しさを経験していくことが必要となってきます。
【投げる動作】の動作発達段階の特徴
基本運動の「投げる」は、「ものを操作する動き」であり、調整力として「協応性(目で見て手足の動きを調整する能力)が必要となります。
例として4つの手具をつかい、様々な投げる(捕る)を経験していく過程を動画で紹介します。参考にしてくださいね。
*動画撮影協力:ぽけっとランド本郷園の2歳児クラスの子どもたちに協力をいただき撮影しました。
楽しみポイント:キャッチすることが目的ではなく、上から投げて投げて帰ってくる楽しさを知る
楽しみポイント:キャッチできることが目的ではなく、転がるボールをよく見て、手に落ちてくる様子を楽しむ
楽しみポイント:滑っていく様子を楽しみながら、的を意識して投げられるようにしていく
楽しみポイント:遠くという空間認知と少し重さのあるものを投げ、投げる前投げたあとの重さの違いを楽しむ
楽しみポイント:チェーリングと同じ色のフープ(的)へ投げ入れ、色遊びと投げる動作を同時に楽しむ。自分とフープ(的)と距離を考えながら投げて、入った時の喜びを感じる。
*「クリアファイルのトンネル」
楽しみポイント:的へ投げ入れ(成功)したとき、滑り落ちていく様子を楽しむ
*「段ボール」
楽しみポイント:投げ入れたときの音を楽しむ
真上に投げる/落ちて弾み様々に動くピンポン玉をキャッチする
「投げる」は、主にボールで実施していきますが、今回紹介したようにボールだけでなく「お手玉」「チェーリング」などを使用して、音や重さを感じながら投げる動作をすると、違った角度から子どもたちが楽しむようになります。
ボールには、「転がす」「蹴る」「投げる」「打つ」「捕る」「ドリブル(つく)」など、自分の体を使った動きと、道具を使ってボールを操作する動きがあります。
その中でも「ボールに働きかける」「仲間に働きかける」と二通りの動きがあります。
「ボールに働きかける」とは、ボールを自分の思い通りに操作することで、今回の投げるはここに含まれ、その他「ドリブル(つく)」「蹴る」「打つ」「捕る」「転がす」などがあります。
「仲間に働きかける」とは、仲間とチームを組んでおこなう「ボールゲーム」です。
小学校へ上がった際の新体力テストの中に「ソフトボール投げ」があります。これは1年生から実施していくものです。徐々に「走る」を主とする鬼ごっこから「操作をするゲーム」へと進化する児童期までに「仲間に働きかける」ボール運動が楽しくできるように、幼児期に基盤づくりをしていきましょう。