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砂場の魅力~子どもの免疫と発育向上の手助けとなる場~

 遊びで土(泥)に触れることで、アレルギー発症の予防・軽減ができる仕組みを見てきました。では、「砂」ではどうなのでしょうか?「土(泥)」と同様その恩恵を受けることができるのでしょうか?

 子どもが大好きな砂場は、土(泥)と比べると微生物は豊富ではありません。他の遊具と比べると数は多いものの、病原微生物が砂に無い限り感染症になるリスクを考えなくても問題ないでしょう。ただ砂場は、土(泥)と違いヒトに良い影響を与える微生物が少ないので、砂場で遊ぶ回数を増やしても腸内細菌叢の変化や免疫細胞の活性化は期待できないでしょう。

 しかし、子ども達がいっぱい砂場で遊んでくれることで、子ども由来(皮膚や唾そして靴底などから)の多様な微生物が砂に少量でも棲みつく可能性があります。「砂場は汚いから遊ばせたくない」と避けるのでなく、土(泥)遊びと同様、砂場遊びも子ども達の免疫を高めてくれる素晴らしい場所に違いはないのです。

 砂場の汚染で懸念となるのが、ネコ、イヌのトイレになってしまうという点です。これら動物の排泄物中にある回虫が、砂遊びを通して子どもの体に取り込まれてしまうという心配はありますが、手を介して口に入らなければ問題ありません。砂場で遊んだ時は、手を洗う衛生習慣を身につけていくことが何よりも大事になってきます。

 砂場は多様な微生物に触れ異物と戦う細胞を高める場であると同時に、山を作ったりトンネルを掘ったりといった砂遊びを通して、以下の発育効果が期待できるでしょう。

1:健全な精神の発育(発想で遊びが広がり集中力が高まる)

2:健全な情緒の発育

※砂場は他の遊具と異なり、子どもの動きをそのまま受け止め思いが形になるため、「受け入れられたという安心感と信頼感」が得られるという考えがあります。精神療法の「箱庭療法」のベースもこの要素だと想定されます。

4:運動機能の発育(発想を形にする際の筋肉の動きを通して)

3:健全な社会性の発育(ことばの使用を通して)

※砂場で遊ぶ園児に耳を澄ませると、「ザーザー」や「トントントン」、砂をケーキなどに見立てた「ごっご遊び」から、「はい、どうぞ」など、乳児から幼児まで年齢に応じた実に多くのことばが聞こえてきます。いつの間にか他の子に、お城やトンネルなどの作り方を伝えていることもあります。保育者からの遊び方の提示やサポートがなくとも遊びの世界が広がる様子を見ると、砂場の世界の住人はやはり子どもなのだと気づかされます。

 「人生において必要な知恵は幼稚園の砂場で学んだ」とは、有名な哲学者ロバート・フルガムの言葉です。食事の前には手を洗う、散らかしたら片付ける、他人の物は壊してはいけないなど、人が生きる上で基本となることを、子どもたちは既に砂場で学んでいるのです。

子どもの砂場あそびについて、より深く学ぶにはこの書籍がおすすめです!

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