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「人権」と聞くと、なんだか難しいイメージを持たれるかもしれません。
もっと平易な言葉を使うと「人が人として大切にされる権利」ということです。それでは、保育の中で人権を大切にするとは、具体的にどんなことを指すでしょう。
ヒントは子どもの権利条約(1989国連採択/1994日本批准)です。子どもの権利条約には様々な条文がありますが、第12条の「意見表明権」に注目しましょう。これまで「子ども」は大人に付属するもので、子どもの一個人としての権利は、あまり考慮されてきませんでした。子どもの権利条約では、子どもを権利の「主体」として再定義し、子どもは一個人として尊重されるべき存在であり、自分にまつわる色々なことについて意見を主張する権利があるとしました。
とはいえ、保育園や幼稚園に在籍しているのは乳幼児です。幼い彼らに「意見表明」をすること、それは可能なのでしょうか。
そこで、子育て先進国として知られるニュージーランドの保育の一例(TADPOLE EARLY CHILDHOOD CENTRE)をご紹介しましょう。
このようにこの園では、園児を権利の主体としてとらえ、園児自身が一日の様々な場面で自己決定(意見表明)できるよう保育が整えられています。この園が特別なのではなく、これはニュージーランドの教育要領(ティファリキ)に沿った標準的な保育なのです。教師主導の設定保育もありますが、1日のうちで1時間以内と限られています。日本の保育と比較すると、子どもが自分で決定する場面が非常に多いと言えるでしょう。
子どもの人権を大切にした保育、子どもたちが意見表明し自己決定できる保育を実現するには………まずは、幼い子どもたちであっても「自分の意見を表明したり、自分の考えを持って行動したりできるのだ」という意識を大人側が持つことが大切なのだと思います。
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