なわとび練習のコツ～前まわし跳び～

こんにちは！今回のコラムでは、なわとび練習のコツをご紹介します。
幼児期後半から、保育園・幼稚園でも運動に取り入れている園があるのではないでしょうか。
子どもの「上手に跳びたい！」に応えるための練習方法を、具体的にお伝えします。

1. 保護者が希望する運動は「縄跳び」！？
2. 動きを分解してみよう
3. 前まわし跳びをするのに適切な年齢は？
4. 前まわし跳びに必要なのは〇〇力！
5. 具体的な練習方法をご紹介
6. まとめ

保護者が希望する運動は「縄跳び」！？

以前、体操のプライベートレッスンをしていた際、レッスンへ来た年長～小学１年生の保護者からいただいた「子どもにできるようになってほしい運動」リクエスト　トップ３をお伝えします。

・跳び箱運動の「開脚跳び」

・鉄棒運動の「逆上がり」

・縄跳び運動の「前まわし跳び」

個人的には、マット運動が体の操作を高めるのに一番の推しなのですが…

なぜ保護者の皆様は、この３つの運動を希望されるのでしょうか。

保護者からは、
「小学校入学後に体育の時間が楽しく過ごせるように、小学校前にできるようにしてあげたい」
「保護者自身で子どもに教えることができない。教えていても子どもが途中で『できない』とあきらめてしまうので…」
といった声がありました。

「開脚跳び」「逆上がり」は、リクエストとしてあがる事も納得ですが、「縄跳び」の希望が高いことは予想外でした。
私立小学校の入学試験に、「短縄跳び」が入っているところもあり、そういった背景もあるのかもしれません。

動きを分解してみよう

まずは、「前まわし跳び」に含まれる動きを確認しましょう。

動きを分解すると、次の通りです。

1. 縄を「握る」
2. 握った縄を体側で「回す」
3. 縄を握りながら、体側で縄を回し、その縄が足元に来た時に真上に「両足跳び」で跳ぶ
4. 1～3をリズムよく続けて跳ぶ

前まわし跳びをするのに適切な年齢は？

前の項目で明らかになった３つの動き、「握る」「回す」「両足跳び」。
この動きが確実に、そして同時にできるようになる、「前まわし跳び」実施の適切な時期はいつでしょうか。

３歳児：基本的動作が発達し、幼児期前半までに二足歩行が完成します。立つ、登る、跳ぶなど多くの動作が可能となる頃ですが、長続きしないのが特徴です。

4歳児：更に複雑な動作が可能となる時期です。

縄跳びを習得するためには、３歳児までに発育発達にあわせて、基本運動を中心に多様な動きを習得していることが理想です。その上で、幼児期後半おおよそ４歳児以降が、縄跳びの技術が習得できる時期と言えます。

前まわし跳びに必要なのは〇〇力！

先述の通り、前まわし跳びは「握る」「回す」「両足跳び」の３つの動きを組み合わせて行います。
基本運動の他、必要な調整力（身体を調整する能力）は何でしょうか？

1. グリップを握り続ける…筋持久力（筋肉に一定の負担がかかった状態で持続的に運動するときに必要な能力）
2. リズムよく跳ぶ…俊敏性（身体あるいは身体の部分の方向を素早く帰る能力）
3. 長く跳び続ける…全身持久力（全身運動が長く続けられる能力）、動的筋持久力（筋の収縮を何度も動かす能力）

基本運動が確実にできる事、それに加えて上でお伝えしたそれぞれの力が備わる事が、「前まわし跳び」ができる条件となります。

さらに、３つの動きの情報を同時に処理する能力である「協応性」（目で見て手足の動きを調整する能力）が必要となります。

具体的な練習方法をご紹介

最後に、先でお伝えした「協応性」を身につける上で有効な練習方法をご紹介します。
日頃の保育の中での運動遊びに取り入れていただくのも良いと思います。

①手をたたきながらリズムよく両足跳びをする

＊動画A～Cでは、両足跳びの方向・位置を変化させています。

＜動画A＞その場でジャンプ

＜動画B＞前に移動

＜動画C＞ジグザグに移動

②両手で様々な箇所を交互にタッチしながら、両足跳びタイミングを変化させる

＜動画D＞両手で頭を触ると同時に両足ジャンプ⇔両手がおなかで両足ジャンプ（ジャンプは前に移動）

＜動画E＞両手が頭の時は静止⇔両手がお尻の時は両足ジャンプ（ジャンプは前に移動）

＜動画F＞両手で頭の時は静止⇔両手がお尻の時は両足ジャンプ（ジャンプはジグザグ移動）

③両手をまわしながら、両足跳びをする

＜動画G＞手のひらを開きながらまわす（ジャンプは前に移動）

＜動画H＞手をグーにしながらまわす（ジャンプは前に移動）

＜動画I＞手をチョキにしながらまわす（ジャンプは前に移動）

他にも、まわす手をグーパーにしながら…等アレンジができます。動画Aの動きから、順に発展させてください。

まとめ

「前まわし跳び」は一見単純な運動ですが、分解し、必要な能力を探ると基本動作はもちろん、様々な調整力が必要である事が分かります。

いきなり縄跳びを握り、練習をするのではなく、是非必要な力の獲得を、楽しんで行ってください。

書籍『子どもの体を操作する力をはくくもう』では、動画にて親子で遊ぶ「縄遊び」「縄跳びの導入」や「前まわし跳び」又難しい技のチャレンジ動画を紹介しています。
是非そちらも参考にしてくださいね！