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みなさん、こんにちは!
このコラムは、子どもたちの運動能力を高めるために様々な角度から「からだを操作する力をはぐくむ」方法を紹介していきます。幼少期に体を思い切り動かしのびのび過ごすと、何事も意欲的に取り組む態度が養われ、健やかな心の育ちも促す効果があります。
ぜひ、日頃子どもとかかわる中で、参考にしてくださいね。
今回のコラム「運動から五感を育てよう!」第1回では、五感を幼少期から育てる重要性を確認したいと思います。
1年延期になった東京オリンピック。選手たちの活躍は素晴らしいものがありました。
私は、新しく加わった競技のスケートボード、サーフィンにとても興味があり、競技のルールなど初めて覚えました。日本の頂点になり世界と争う。スケートボードなどは、フィールド以外で見せたライバルへの思いやり、まだまだ10代なのに本当に尊敬します。
オリンピック閉幕後、2021年8月24日から9月5日まで「東京2020年パラリンピック」が開催されました。今回の競技数は、22競技。
著者は、8月25日に「ゴールボール」日本男子予選リーグをテレビ観戦しました。
このゴールボールは、視覚障がいのある選手がプレーする特有の競技です。鈴の入ったバスケットボール大のボールを互いに投げ合い、得点を競うチームスポーツで音を消した移動攻撃や味方の声を頼りにパス交換するなど、多彩な攻撃が展開されます。
障がいの程度に関わらず「アイシェード」と呼ばれる目隠しを装着。全盲状態でプレーします。選手は、相手選手の足音などかすかな音を頼りにボールの出所を読み、体全体でゴールを守ります。したがって試合は静寂の中で行われます。
さて、私たちは、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」これら5つの感覚を使い情報を得ています。
五感の中で「視覚」はとても重要な存在です。
私たちの五感それぞれで情報を得る割合は、「視覚83%」「聴覚11%」「嗅覚3.5%」「触覚1.5%」「味覚1%」と言われています。(リスク対策.com「防災とピクトグラム」より/ピクトグラムアーティスト藤代洋行氏)
先ほど紹介しました「ゴールボール」は、五感のなかの「聴覚11%」「触覚1.5%」を頼りにプレーしているということになります。水泳や柔道、陸上、ブラインドサッカーなど・・自分のできることを極めるというパラアスリート皆さんは、本当に素晴らしい能力を持っています。
私たちが健康な生活を送るためにも環境に対する対応が大切です。なかでも体の動きによる対応は最も基本的なものです。生まれてからの赤ちゃんは反射的な動きを見せることはあっても、自分で周囲の状況に対応することはできません。赤ちゃんの生活は全て周りの大人たちに依存していると言ってもよいでしょう。
しかし乳児期の後半に入ると「ひとり座り」「ひとり立ち」ができ、最初の誕生日を過ぎてしばらくすると「ひとり歩き」ができるようになります。自分の意志により体を動かすことのできる「ひとり歩き」は、生後の発達段階において画期的な変化といえます。自分の意志で食べ物を求めて移動します。危険なものから避けるために移動できるということは、動物が生きていくために必要な基本的能力といってもよいでしょう。生命維持のためのコントロールは、神経の機能によって行われる部分が大変多いです。体を動かすためには、必ず何か目的があり、欲しいものをとりたい時など、そこへ移動しなければなりません。このような時、欲しいものがどこにあるか認知が必要です。これを認知するのが感覚器です。
目で見て、耳で聞き、皮膚で感じ、鼻でにおいを嗅ぎ、舌で味わうという五感は、私たちの身体運動のありかたを決めるための基礎的な情報源です。しかし、一般的に感覚器の感度は、人により個人差が大きいようです。
身体運動は、経験にもとづく学習や知識の積み重ねによる判断で決められていきます。大脳からの命令により運動器官が活動するわけです。このような身体運動の機能は、それぞれ分担する器官が適切に発達することによって円滑に働くのです。
そのため、体を動かしながら「五感」から情報を「インプット」し、脳に伝え「アウトプット」(行動、運動)することは、幼少期にとても必要な経験となります。
今回は、基礎的な情報源「五感」についてお話ししました。
次回part2は、五感の情報収集と神経系の発達について取り上げていきます。その中での身体運動に直結する「触覚」「視覚」「聴覚」について取り上げていきます。お楽しみに。
筆者の著書で、より詳しく子どもの運動について学べます!